PLAN75を観ました
以前から観たいと思っていた映画「PLAN 75」がprime videoで観られるようになりました。
雨の日曜日、コーヒーをお供に一人で鑑賞しました。
今日は感想を書いてみたいと思います。
ネタバレが多くありますので、まだ観てないない方はお気をつけください。
PLAN75
監督 早川千絵
公開 2022年6月17日
主演 倍賞千恵子
制作会社 ローデッド・フィルムズ
日本・フランス・フィリピン・カタール合作
作品の冒頭
映画は、銃を手にした人物が何かの施設の廊下をうろついているシーンから始まります。
その腕は血に染まり、息づかいは荒く…
床には何かものが散乱していて、それはよく見ると、こわれた車いすやつえなのです。
「増えすぎた老人がこの国の財政を圧迫し、そのしわ寄せをすべて若者が受けている……」
主人公は78歳の女性
倍賞千恵子さんが演じる主人公は、ホテルで客室清掃スタッフとして働いています。
仕事が終わり、帰るのは古い集合住宅。
夫に先立たれ、子どもはなく一人暮らしをしています。
部屋は生活感にあふれていますが散らかってはいません。
観葉植物を育て、文庫本を読み、爪を切り、歯を磨き……
ごはんとみそ汁におかずを並べて食事をし……
仕事をして、誰にも迷惑をかけず、一人できちんと暮らしている様子がうかがえます。
PLAN75とは
この作品の世界では、75歳以上で希望する人は安楽死を選ぶことができるPLAN75という制度があります。
高齢者を対象とした健康診断の会場に、PLAN75の大きなのぼりが置かれ、プロモーション動画が流されています。
「死に方を自分で決められたら安心……」
画面の中では高齢の女性が笑顔でそう言っています。
仕事をし、自分のことは自分できちんとできるという自負を持って暮らしている主人公でしたが、PLAN75の申し込みへと気持ちが傾いていく様子が描かれていきます。
この映画の世界で、高齢者の賃貸契約や仕事探しの問題は現在のままです。
高齢者に健康診断を勧めながら、PLAN75を推進しています。
自活する能力がある高齢者が自力で生活しやすくなるような改善はなく、本人や家族の負担は増えて長生きはつらいものになる一方で、安楽死という選択肢を作っているのがPLAN75の世界だと思います。
強制ではないといいながら…
自分の将来を見るよう
わたしは夫がいませんし、子どもが独立した後は一人で暮らしていくことになると思います。
この映画の主人公の暮らしぶりを、自分もこうなるのかな…と思いながら見ました。
主人公の部屋には、室内にもベランダにも植物が置かれ、棚には文庫本が並び、手編みと思われるカーディガンを着ているシーンもありました。
仕事はきつく寂しさを感じることはあるでしょうが、ささやかな喜びもある暮らしのように見えました。
でもそんな風に一人で生活できなくなる日は確実に来ます。
高齢者の社会保障の問題
SNSを見ていると、若い人たちの中に、高齢者のための社会保障費の負担で自分たちがつらい思いをしているという不満がふくらんできていることを感じます。
政治のせいではなく、高齢者たち自身のせいという考えを持つ人もいます。
10年後、20年後は今よりずっと状況は厳しくなっているでしょう。
政府が解決してくれるでしょうか。
私はどうも、高齢者と若者の対立をテコにして、高齢者への社会保障費を削っていくだけじゃないかという気がします。
映画のように恐ろしい事件が起これば、その後PLAN75のような制度が敷かれるのかもしれません。
電気代が高騰して原発の再稼働はやむなしと考える人が増えたように、若者に殺されるぐらいなら身寄りのない貧乏人を安楽死させるのはしょうがないと考える人が増える。
そこへ政府が差し出すのがPLAN75というわけです。
どう死にたいか
高齢の方たちには、寿命が来るまでできるだけ快適に暮らしてほしいと思います。
そして家族と感謝しあって、おだやかに最期を迎えてほしい。
できることなら自分もそうなりたいです。
でもこの世の中の流れでは、それは難しくなっていくのでしょう。
長生きすることが若者を苦しめると言われたら、そうかもしれないと思います。
「おじいさんおばあさんいつまでも元気で長生きしてね」と言っていた昔とはもう違う。
私は長生きしたいとは思いません。
でも死ぬのは怖いから、安楽死が選択肢の一つにあったらいいなと思います。
高齢者と若者が対立することが、一番恐ろしく悲しいことです。
自分が死ぬということや、社会の若い人たち、これから社会人になる自分の子供のことなどを深く考えさせられる映画でした。
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