『家で死のう!』を読みました
人は必ず老化していつか死にます。
それは当たり前のことでよくわかっているつもりでしたが、本当に理解してはいないのかもしれない、とこの本を読んで思いました。
『家で死のう!』という本
タイトル | 家で死のう!-緩和ケア医による「死に方」の教科書 |
著者 | 萬田緑平 |
発行所 | 三五館シンシャ |
発行日 | 2022年7月1日 |
著者は外科医として大学病院で17年間がんの治療にあたった後「在宅緩和ケア」を専門とする開業医として2000人もの患者を自宅で看取ってこられた方です。
この本では、病院で延命治療を受けてつらく悲しい死を待つより、家で好きなようにすごし周囲の人と感謝しあって人生を終えることを提案しています。
健診結果に異常が
50歳をすぎて、私も健診結果の数値に異常が出るようになってきました。
なんで? 生活習慣が悪かったの? と焦りを覚え、急に健康志向になっているのがいまの私です。
なんで私の健診結果の数値に異常が出るようになったのか。
この本によると、その理由は……
老化!
老化以外の何ものでもありません。そのことを、この本はくり返しくり返し教えてくれます。
女性ホルモンが分泌されなくなって閉経すること、LDLコレステロールの値が上がること、白髪が増えること、太りやすくなること……
これすべて老化。
何かを間違えたり運が悪かったりしてこうなったわけではなく、自然に当たり前にこうなったのです。いたって順調に死へ向かっているわけです。
どんな健康法や治療でも老化を止めることはできません。
医療や健康法で老化を遅らせることはできるかもしれません。でも遅かれ早かれ人は老化して死にます。
少しでも老化を遅らせたい?
いろんな病気の治療方法が発展し、病気=老化と戦うことができるようになりました。人をなかなか死なせない技術が進歩した結果……
脳の寿命以上に長生きしすぎて認知症になる人がいるのだそうです。
そう聞くと、健康を追い求めて長生きしすぎることが恐ろしくなってきます。
病気の治療をしないとどうなるか
病気になっても病院で治療を受けないなんて、なんだか怖いですよね。
医者に怒られる気もします。
この本によると、病院に行かず、病名をもらわずに家で暮らし続けていると「老化」→「脳」→「肺」→「心臓」と機能不全になり死んでいくだけだそうです。
だけ
という言葉に衝撃を受けつつ、少しホッとするような気もしました。
どのように死んでいくか
具体的には、亡くなる数週間前から数日前に食欲が低下し、寝ている時間が長くなり、体力が低下して動けなくなる。意識がもうろうとしてくる…
そして、亡くなる数日前~数時間前、亡くなるときにはどうなるか、この本には書かれているので興味のある方は本をお読みくださいね。
今はだれでも病気になると医療を受けられますが、江戸時代とか、むかし医者にかかれない身分の人たちはきっとそうして家でふつうに死んでいったのでしょう。
医療を受けない方がいいのか?
これを読んで、よしじゃあもう病院行くのやめよう!サプリも健康法もダイエットもやめよう!とか思ってしまいそうになるのですが……
今すぐあらゆる医学的治療を受けることを拒否して、いろんな健康法を実行することもやめて、体に不調が出たらそれは老化のせいであるからと受け入れ、逆らわずに死んでいくべきだとはこの本には書かれていません。
そういう生き方、死に方を選ぶ人もいるかもしれず、それは人の自由ということなのでしょうが…
いつまで治療を続けるか
多くの人は、病気になれば病院へ行き治療をうけます。でも治療さえ受ければいつまでも元気でいられるわけではなく……
どんな治療を受けてもいつかは必ず死にます。治療の副作用で体がボロボロになったり、苦痛を受けることもあります。
医師は、少しでも可能性がある限り、心臓を動かし続けようと治療をします。
本人が、どこかで治療を受けることをやめたいと意思表示しない限り、苦痛だとしても心臓を動かし続けようとする治療が続けられるのです。
胃ろうや人工呼吸器などを使った延命治療が行われることもあります。
どこで治療を受けることをやめて家で死ぬことを選ぶかは人それぞれ自分で決めるべきことですが、一つの目安として「治療の効果よりも治療による苦痛が上回ったら」治療をやめて死を受け入れてはどうかとこの本の著者は言っています。
家で死ぬことを選んだ人たち
この本には、ガン等重い病気の治療を受けなかったり中断したりして、家で死ぬことを選んだ人たちの実話が多く掲載されています。
老化と死を受け入れ家で死ぬことを選んだ人たちの旅立ちにはどこかすがすがしさすら感じられました。
家で死ぬために目指すべきこと
「亡くなる前日までトイレに歩く」「シモの世話にならない」ことを目指すのだそうで、これはいつも私がそうなりたいなと思っていることと同じです。
ピンピンコロリを実現できる可能性が高いのは、ガンで死ぬことだそうです。
著者はガンで死ぬことを希望すると書いています。
認知症になるまで長生きしてしまうと、家族と別れのあいさつをすることもできないからと……
今日が人生最後の日
やり残したことがある、と思いながら死なないように、いつ死んでも後悔しないような生き方をしようと書かれています。
今日が人生最後の日だとしたら何をするでしょうか……
自分はどう死にたいか
この記事の最初にこう書きました。
わたしは必ず老化していつか死にます。
それは当たり前のことで、よくわかっているつもりでしたが、本当に理解してはいないのかもしれません。
今から少しずつ理解していきたいなとこの本を読んで思いました。
私もこの本の著者のように、認知症にならず、死ぬ前の日まで自力でトイレに行きたいというのが希望です。
そして、50のオバサン体形の私が書くのめちゃめちゃ恥ずかしいけれど、きれいでいたいんです。
そう私はきれいでいたい。
認知症にならない方法、年をとってもきれいでいる方法を探すよりも、きれいで元気なうちに死ぬ方法を探す方が簡単かな、なんてふと思ったり。
家族との絆
あと、良い死に方をするには家族との絆が大事ということが書かれてありました。
私は離婚しているので伴侶はいませんし、子供は私の介護のことなんか気にしないで、どこでも好きなところへ行って自分の人生を謳歌してほしいと思っているので……
以前からなんとなく、自分は一人で老後を暮らし良い死に方はできない気がしていますが、やっぱりな…と寂しい気持ちになりました。
一人暮らしの高齢者が、あまりひどくない死に方をするにはどうしたらいいのかな……
そんなことをこれから考えていきたいです。
人生や死について深く考えさせられますが、難しい用語などは少なく、重くも堅苦しくもなく、とても読みやすい本でした。
親の介護や自分の老後のことについて考える年代の方は、ぜひ読んでみてください。
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